Short Stories -log-



 Tsideリーダーって。 / TOKIOの老後計画 / 松さんの脳内映像 / CLOSER / Mobile Phone / REST
       氷の微笑 / となり / Share your burden. / Men with bright eyes / ドッグタグ / 戦友と家族
       Study Time

 AsideSWING! / 羨望の理由 / 組み合わせ

 T・Aside若かりし / 智さんのプチブーム / リーダー's メール


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 Study Time  T−all


「ピラミッド」
「エジプト」
「万里の長城」
「中国」
「ストーンヘンジ」
「イギリス……だったっけ?」
「ん、オッケー。パルテノン神殿」
「えーっと……あ、ギリシャ?」
「正解。アンコール・ワット」
「インドネシア、じゃなくて……タイでもなくて……でもそのへんだよねぇ、リーダー!」
「うん、そのへんや」
「ちょっと待って、もうちょっとで出てきそうだから!」

「……山口くん。リーダーと長瀬は何やってんの?」
「見ての通り、『お勉強』。テーマは『歴史的建造物』。ほら、前の……インドにピラミッドは、しげとしてはちょっとショックだったらしい」
「太一くん、長瀬のヤツ、リーダーから宿題出されてたのよ」
「はぁ? 宿題〜?」
「有名な歴史的建造物とそれがある国名を事前に憶えてこいって。あいつ、それなりに真面目に憶えてきてんじゃん」
「まぁ……長瀬にも思うとこがあったんじゃない?」

「わかった! カンボジア!」
「お〜、よぉ出てきたなぁ、長瀬」
「よーし、どんどん出して、リーダー!」
「そしたら、今度は日本から出そか」
「えーっ、ダメっすリーダー、日本は憶えてないから無理っ」
「そぉか、じゃあ今度は日本も憶えてきぃな? そやなぁ、久しぶりに都道府県の問題出そか」
「うわー懐かしい! リーダーが問題作って出してくれてましたよね」
「じゃあ、僕の出身県」
「奈良県!」
「奈良県の北にある県」
「…………京都?」
「京都の東側や。琵琶湖のある県」
「あ、あ……えぇーっと…………県名、わかんない……」
「……もっかい、都道府県もやり直したほうがえぇかな……」

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 ずーむいんトキあらからもう1ネタ。
 最近では5Lでも天然炸裂してる長さん。
 茂さんは受験生のための番組も持ってはるので、こんな妄想です♪
 (実際、琵琶湖が滋賀にあるっていうの答えられない人がいるって家族が言っていたのを元ネタにしました……滋賀県民としては悲しい事実ですが 苦笑)

 2010.12.28





 組み合わせ  A−all


「今日は楽しかったね〜」
「うん、何かずっと笑ってた気がする」
「TOKIO兄さんと僕ら、10人全員だけでって新鮮だったしね」
「ところでさ、あの組み合わせってどうやって決めたんだろうね?」
「あぁ、2人1組ってやつね」
「何だろ……特に基準はないのかな? 山口くんはよく俺の出てる番組に来てくれるし、しゃべりやすくて嬉しかったけど」
「俺も、茂くんと一度ちゃんと話してみたかったし満足だなぁ」
「俺は松岡くんとだったけど……何せ数ヶ月前に初めて一緒に呑んだくらいだし。それこそ、リーダーとか相葉ちゃんの方が繋がりあるよね」
「俺と長瀬くんってのが一番謎なんだけど、個人的に……。智くんは太一くんとだったね」
「うん。前にさ、衣装借りてたって話で、おれは太一くんのだったから……その繋がりかと思った」
「それだと、俺は山口くんとってなっちゃうよ」
「あ、そうかぁ……」
「それでいくと、俺が松兄で」
「俺が長瀬くん」
「あ、俺はどっちにしろ茂くんだ」
「その、衣装組み合わせもけっこう面白い組み合わせだったかもね」
「あ、そしたら、イメージカラーで分けたらどうなるかな?」
「そっか、どっちも5人だし、確かイメージカラーも一緒だったよね」
「でも俺、TOKIOの5人のイメージカラーちゃんとわかんないかも」
「俺、いっこだけ確実にわかるよ!」
「んふふ、おれも〜」
「リーダー、一緒に言っちゃう? ……せーのっ」
『松兄は、紫!』
「松兄、紫大好きですもんねぇ」
「じゃあ、俺と松岡くんが一緒ってことだから……ここの組み合わせは一緒だな」
「確か、茂くんが緑で、山口くんが黄色かな?」
「俺が城島くんとで、ニノと山口くんかぁ。俺、城島くんとだったら何しゃべっていいかわかんないよ〜」
「大丈夫だよ相葉ちゃん。基本はうちのリーダーと一緒で寡黙な人だから」
「あ、そっか……」
「残るは赤と青だけど……たぶん、長瀬くんが赤で太一くんが青だよね?」
「……あ、おれ、また太一くんとだ」
「俺が長瀬くん。あ、イメージカラー通りの組み合わせは3つあるんだね」
「う〜ん……あ、こういう分け方かな……」
「ニノ、何か気づいた?」
「こういう考え方もありかなって程度なんだけど。茂くんと相葉ちゃんって、ツッコミかボケかで言ったらどっちもボケでしょ?」
「うん、そうだね」
「松兄の話によると、茂くんもちょっと天然っぽいらしいからね〜。だから、どのペアもボケ同士にならないように構成したのかな〜と。俺と茂くんだったら俺がツッコめるし」
「リーダーと太一くんもそうだね。翔くんと長瀬くんは……」
「俺はちょっと立ち位置微妙だけど、長瀬くんがすごい天然だから自然とツッコミだったよ」
「俺も、山口くんがツッコミだね。あれ……松潤と松兄は……どっちもボケじゃなくない?」
「うん、そこはツッコミ同士だねぇ」
「俺と松岡くんは余りかよ」

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 某所でずーむいんのトキあら密着を拝見しましたv
 まさか番宣からこんなにがっつり組むとは……予想外。(関西圏じゃ見られないものも多いと思いますけど)
 あの組み合わせはどうやって決めたのかなぁと思い、嵐ちゃんにつらつらトークしてもらいました。
 個人的にはやっぱり、年齢順で茂さん智さんペアを見てみたかったなぁ〜と思います。

 2010.12.28





 戦友と家族  T−all


「……松岡くん」
「何だ、長瀬」
「……つまんないっス。リーダーと山口くんと太一くんが舞台の上にいるのに、俺らは下にいなくちゃいけなくて」
「俺らは平家派じゃないんだからしょうがねーだろ。お前は後から出番あるけど、俺はこれっきりだっての」
「何かわかんないけど、もやもやする……」
「リーダーと兄ィと太一くんが他のユニットにいるから嫌なの? それを言ったらお前はソロやったことあるし、太一くんや俺も期間限定とはいえ、他のユニット組んだことあんだろ」
「……わかってます……でも何か違う、その時とは」
「……あー……何となくわかったかも、俺」
「何が?」
「他のユニットと平家派を、何でお前が区別すんのか」
「わかったの?」
「たぶんな。……リーダーと兄ィがいるからじゃねーの?」
「……リーダーと、山口くん」
「そ。あの二人はいわばTOKIOの土台でしょ? その二人が、TOKIOとは違う場所にいるからじゃないの?」
「あ〜……うん……そう。そう、かも」

(ナレーションが入り、平家派『Guraduation』)

「綺麗だな」
「うん……」
「リーダーも兄ィも太一くんも、緊張してんのすげーわかったけど」
「でも……楽しいんだろうなって、わかった」
「まぁ……あの人たちは“戦友”なんだろうからね」
「……俺らだって、リーダーと山口くんと太一くんと、一緒に闘ってきたじゃん」
「長瀬、俺らは違うよ」
「…………」
「確かに、TOKIOとして一緒に闘ってきたけどさ。……でも、“戦友”じゃない」
「じゃあ何なの?」
「新しく自分たちの意志で創り上げた集合体だからね――言うなら“家族”、だよ」


「松岡くん、あれはリーダーばりのクッサイ台詞だったよね〜、俺マジでウケたもん!」
「うっせー、お前こそ、親と兄ちゃん取られてべそかいてる子どもみたいだったくせして!」
「違いますぅー! 松岡くんだって、カッコつけてたけど本当は淋しかったんでしょ!?」
「俺はお前とは違うの、ひろーい心で受け止めてんだよッ」
「嘘つきぃ〜」
「嘘じゃねぇっての!」

「……あの子らは何を言い合っとんのやろ? 喧嘩……ではなさそうやけど……」
「あれくらいなら可愛いもんだよ。ほっときゃ収まる」
「なぁんか嫌な予感がするんだよね……。内容は聞かない方がいいと思う、絶対」

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 歌謡祭、平家派ステージ後に移った松さんと長さんが神妙な顔で拍手してらしたところから、ちょっと複雑な気持ちもあったりして? と妄想しました。
 リセッタが夫婦ってのは松さん認定が出てますのでね♪(トキステで!)

 2010.12.06





 ドッグタグ  T−all


「リーダー、誕生日おめでとう!」
「とうとう来ちゃったね、この日が……」
「昨日シゲコプターのロケだったんでしょ? どうだったの?」
 11月17日の当日は、5LDKの収録日。
 収録前の楽屋はいつもに増してにぎやかだった。
「ありがとぉな。うん、何とか成功したよ……って言うてもえぇと思うんやけど……なぁ、達也?」
 城島が振り返った先の山口は、にっこり笑って肯く。
「そうだね。しげの躰がちゃんと浮いたわけだし」
「ねぇねぇ、どんな感じなの、躰が浮くのって」
「ん〜……そやなぁ、体重を感じひんようになる、ていうのかなぁ」
「ふーん……なかなか想像できないね〜やっぱ」
「すげー! 俺もやってみたい!」
「今の装置では無理やけど、また改良したらな。皆もできたらえぇなぁ」
 城島と下3人が和やかにしゃべっているのを眺めていた山口だったが、ふと思いついたように鞄の中を探った。
 そして取り出した何かを持って腰を浮かす。
「しげ。これ、返すの忘れてた」
 山口の掌に乗ったもの――ドッグタグを見て、城島はふわりと笑った。
「ああ……ほんまや、僕も忘れとった」
「昨日は興奮してたからね、お互い」
 城島の指がそのドッグタグを摘み上げるのを、太一、松岡、長瀬はぽかんと見守る。
「達也、もうひとつの、なくさんと持っといてや? 第二章からも、達也にはサポートしてもらわなあかんねんから」
「バカ、なくすわけないでしょ。シゲコプターが本当に飛べる日には、また俺が同席するんだからね」
 話の内容からそのドッグタグがどんなものか予想がついてしまった三人は、頭をつき合わせて何とも言えぬため息を吐いた。
「あのドッグタグって、やっぱシゲコプターのために作ったっぽいですよね?」
「何て刻んであるんだろ……」
「俺は見たくない……リーダーのクサい言葉とか入ってそうだしさぁ」
「……何かズルイっす。リーダーと山口くん」
「あの二人が二人の世界を作るのなんて今更だろうが」
「わかってますけどぉ……」
「シゲコプターを作る過程に俺ら他のメンバーが入ってくることを、あの人たちナチュラルに考えついてないんだよね絶対……」
「あれがわざとじゃないから、つっこむ気も萎えるんだよなー」
「そうなのよ」
「そうっすねー……」
「まぁ、俺らは俺らの立場で応援するしかないよな〜」
 太一の言葉にコクコクと何度も肯いた松岡・長瀬だった。

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 ガレージのページで発見した“ドッグタグ”より妄想。
 実際何が刻まれているのかはわかりませんが……。
 シゲコプター企画がもしまた再開されてフライトまでこぎつけたら、このドッグタグの出番もあるのかなぁ……。

 2010.11.29





 Men with bright eyes  T− +α


 ありがとうございました、お疲れ様です、などという声をかけ合った二人の人物の気配が後ろから消えると、山口はふーっと息を吐き出した。
「太一、よく知ってるなぁ。さっきの芸人さん……初対面なのに」
「ああ、野性爆弾?」
 スゲーコンビ名、と山口が言うと、インパクトあるでしょ、名前も風貌も、と太一は笑った。
「ほら俺、ブラックマヨネーズの二人と番組やらせてもらってるでしょ。ブラックマヨネーズが司会をしてる関西ローカルの深夜番組があるんだけど、彼ら、そのレギュラーなんだよ。だから知ってた」
 何故関西ローカルの番組など知っているのか、とは愚問だろう。
 太一の勉強熱心はメンバー全員の知るところだ。おそらく、共演するにあたって資料として観たのだろう。それできちんとレギュラーの芸人まで憶えているのだ。
「それにしても……」
 山口は腹を押さえて、またくくくっと笑った。
「キャラ濃いなぁ。カメラのこと墓石って……初めて聞いた、俺。今度ゲストで来てくれたらおもしろそうだなあ」
「ホントにねー」
 スタッフの声がかかった二人は、話に花を咲かせながら本来の目的地に向かって歩き出した。


 数日後――大阪のテレビスタジオにて。
「なぁなぁ聞いてぇやー、小杉、よっさん!」
「何や、ロッシー」
「こないだ東京のテレビ局でTOKIOに会うてん! ロケしてはってな、ちょぉ出さしてもうてな、なぁくぅちゃんスゴかったなぁ!」
「……くぅちゃん、ロッシー何言うてんのか全くわからへんねんけど」
「いやな、テレビ局内の廊下でTOKIOの山口さんと国分さんがロケしてはってん。俺らはたまたま通りかかっただけやったんやけど、カメラ回しとったし何か撮ってもらえたみたいやわ」
「へー、野爆ってようわかってくれはったなぁ。共演したことないやろ?」
「国分さんが知ってはったわ。この番組観てます、て。小杉とよっさんによろしくて」
「国分さんめっちゃえぇ人やろ」
「……うっわめっずらし、よっさんが手放しで人褒めてるで」
「でもほんまえぇ人やったなぁ〜、国分さんも山口さんも」
「初対面の感想はどうやったん?」
「ん〜……あぁ、やっぱあれかなあ」
「あれは衝撃やったな」
 (野性爆弾の二人、顔を見合わせて)
「「めっちゃ目ぇキラキラしとった」」

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 3人組女芸人さんゲストの回の5Lより。
 思いっきり趣味の話ですみません。あのあと野爆のおふたり、ブラマヨさんに報告してたらいいな〜と妄想。
 ちなみに野爆、ごつくて人相のいかつい方(笑)がくぅちゃん(川島さん)、茶髪のぼんやりした方がロッシーです。
 ブラマヨ吉田さんは「よっさん」と呼ばれています。

 2010.11.08





 リーダー's メール  T‐,A‐


To:城島くん
 城島くんこんばんは。お疲れさまです。
 城島君は、メンバーに直してほしいこととか、何か注意したいときはどうしてますか?


From:城島くん
 今晩は。大野も仕事お疲れさん。
 僕はなるべく気付いた時に、はっきり言うようにしてたよ。
 それはちょっとしたこと? それとも深刻なことなんかな。


To:城島くん
 深刻なことじゃないです。
 ずっと気になってる松潤のクセがあるんですけど、直してほしいけどどう言えばいいのかわからなくて……。
 クセって言われて直るものじゃないしと思ったら、言いにくいなって思っちゃうんです。


From:城島くん
 無意識の癖やと難しいかもしれへんね。
 でも松本には一度、きちんと大野が感じてることを言った方がいいと思うで。
 大野と松本はいくつ違うんやっけ?


To:城島くん
 松潤はおれの3つ下です。


From:城島くん
 3つか、僕と太一が4つ違うから、それくらいってことやね。


To:城島くん
 城島くんは、太一くんにそうして注意したりしてたんですか?


From:城島くん
 太一には、あんまりなかったかもしれんなぁ。
 太一は昔、僕より山口の方が付き合いがあったから、山口に任せてたことが多かったような気がするわ。


To:城島くん
 わかりました。
 城島くんありがとうございました!



「ていうことだから翔くん、おれの代わりに松潤に言ってほしいんだけど」
「……智くん」
「ん?」
「あのね……城島くんが言いたかったのはそういうことじゃないと思うよ……」
「だってさ、おれより翔くんの方が、昔松潤と仲良かったじゃん。だからおれじゃなくて翔くんが言った方がいいだろ? 城島くんも山口くんに任せてたんだから、おれだって翔くんに任せていいよね?」
「さとしく……」
「……な、翔くん、お願い」(うるうるの眼で訴えかける)
「…………っ、わ、わかった……」(うるうる光線に屈する)
「――ねぇねぇニノ、あれ、リーダー確信犯でしょ?」
「相葉さんでも気付くんだから翔さんもわかってるんでしょうけど……ね、翔さんはリーダーのあの眼に弱いから」



「なあ達也、大野、これでほんまにわかってくれたんやろか」
「さぁな……っていうかあなた、メンバーのメールにはなかなか返信しないくせに、大野にはまめに返事してやってんだね?」
「……それは、ほら、大野からメールもろたの初めてやったし……相談事やったし……な?」
「な、じゃないでしょ。じゃあ今夜、俺あなたにメールするからちゃんと返信してよ?」
「え〜……」
「え〜じゃないよ、ホントにするよ、俺。あなたの返事がくるまでメール送り続けてみようか?」
「それは嫌やわ……」

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 智さんのお悩みはしやがれSPより。智さんと茂さんを絡ませたかっただけです(笑)

 2010.09.29





 Share your burden.  T−


「おはよ」
 ガチャリと楽屋のドアが開いて達也が姿を現した。
「おはよぉ……」
 いつも通り答えて、すぐに彼のまとう雰囲気が異なることに気づく。
(なんや今日は機嫌悪いみたいやな……)
 わかっても理由を追及するようなことはしない。
 ただ少しだけ、普段より気をつけて彼を構ってみるだけ。達也が返してくる反応を見て僕は出方を決めるのが常だった。
「ねえ、しげさん?」
 けれど僕が行動を起こすより先に、達也が口を開いた。
 そういうときは、よっぽど腹に据えかねているときである。しかも――僕に対して。こういうのは何となくわかってしまうのだ。
「なんやぁ?」
 達也相手に意味はないだろうと思いつつ、わざと気づかないふりを装ってみる。
 腕組みをしてむっつりと唇を引き結んだ達也は、これみよがしにため息を吐いた。
「あなたに言ったって無駄なんだろうと思うけど、吐き出さないとイライラして仕方ないから言うよ? ――何であなたは水も高い所も苦手なのに、あんなロケ引き受けるの」
 そこで僕は、達也の不機嫌の根源に思い当たった。先日の、ちびっこと対決するという趣旨のロケだ。
「そんなん、仕事やもん当たり前やろ。これまでだってそうやったやん」
「うんわかってる。だけどね、あそこまで引き立て役に徹しなきゃいけなかったわけ?」
「……それが、DASHでの“リーダー”の姿やろ?」
 テレビで求められる“リーダー”像を、使い分けて演じる。
 僕にとってそれが必要なことだと理解したときから、ずっとそうしてきた。達也もそれは充分わかっているはずなのだけれど、ときどきこんなことを言うのだ。
 彼が僕の本質を知りすぎているからこそ、なのかもしれないが。
「それに、あの日は助っ人さんがおったやろ? 達也とペアやったら、子どもらの勝算が少なくなってまうやん」
「いいじゃん、たまにはそんな結果でも。世の中の厳しさを知るってのも必要なことでしょ?」
「……達也……」
 珍しく、しつこいほどにああ言えばこう言う達也に僕は思わず嘆息した。
 ぐにゃりと達也の表情が歪む――
 でもそれを最後まで見届けないうちに、僕は達也に肩を掴まれて躰を引き寄せられていた。
「あなたの“役割”もあなたの考え方もよくわかってる。だけど、俺にだって思うところはあるんだよ」
 柔らかな声の響きに剣呑さが混じる。語気の強さが達也の気持ちをひしひしと伝えてくる。
(これ、わかっててやってるんやったらずるいで、達也……)
 達也の声をとても好きな僕に対して、声で切に訴えかけてくるなんて卑怯だ……と、達也の腕を背中に感じながら思う。
「これから、水に関するああいうロケがあったら、ひとつくらいは俺に回せ。川よりは海の方がいいけどね、俺の得意分野だから」
 ぐいと顔を覗き込まれて、綺麗な笑顔をお見舞いされた。
(だけど、なぁ、僕が大人しく言うこと聞くなんて思ってへんねやろ、達也)
 だから僕はにやりと笑い返してやる。
「達也はただ海に行きたいだけやろ?」
「うわー、そんなこと言う? 俺の優しい気持ちを無下にして」
「それに、前はたまたま僕と松岡やったけど、今度は僕と達也で分かれて行くことになる可能性の方が高いと思うんやけど」
「うん……まあそれは否定できないけどね」
 他愛ない会話をぽんぽんとやりとりしながら交わした視線で、僕の感謝の気持ちが達也に伝わったことを確信した。
 
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 Share your burden.=あなたの負担を分けて。
 茂さん一人称に挑戦してみましたが、難しい……。

 2010.08.15





 となり  T−太一さんと茂さん太一さんと茂さん


 太一が縁側に腰かけてカエルの大合唱に耳を傾けていると、「やっぱり村は涼しいなぁ」と呟きながら城島がひょこひょことやってきた。
 そして、自然と約1人分の間を空けて腰を下ろした。
「カエルの鳴き声が種類によって違うなんて、村で始めて知ったわぁ」
「周りが静かだから聞き分けやすいよね」
「太一は耳がえぇからね」
「リーダーもでしょ」
 そうしてまた二人は暫く黙り込む。
 太一はすっと眼を伏せて、城島との間に出来た空間を見た。

 ――これが自分たちの距離感。それはわかっているけれど。

 例えばこれが、恐らく視聴者には一番お馴染みであろう城島と山口のコンビだったらば。
 太陽が東から昇り西へ沈むことと同じくらいの自然さで、隣に寄り添って座るのだ。
 それが城島と山口、二人の距離感だから。
 太一に同じ事は出来ない、それは重々承知しているが……。

 ほんの少し、なら。
 近づいてみてもいい――

 太一がぐっと腕に力を入れて腰を持ち上げ、横にずれようとしたその時。
「どれ、儂(わし)も座らせてくれな」
 明雄さんがやって来たのを見て、城島が少し横に躰をずらし、太一との間に彼を招き入れた。
 太一は腕の力を抜き、そのまま腰を下ろすしかなかった。
「ええ風が吹いとるなぁ」
 明雄さんの言葉に太一が顔を上げると、汗の引いた肌を涼しい風が撫でていった。
(俺とリーダーの距離は、まだまだってことだな)
 何だか笑いがこみ上げてきそうになって、太一はぐっと伸びをして「ホント、いい風!」と大きな声を出してごまかした。
 背後から礼人が小走りでやって来る足音が聞こえていた。

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 7/25のDASHより。縁側に座るとき、リセッタは隣どうしなのにホムクルは間に明雄さんが。距離感が如実すぎる(笑)

 2010.07.25





 智さんのプチブーム  A−all・T−

 出演する音楽番組の通しリハーサルが終わって、嵐の5人は楽屋に戻ってきた。
「リーダー、さっきの何? いきなりなぞかけなんか始めちゃって」
 二宮が怪訝な表情で大野に訊ねると、大野が答える前に櫻井が口を開く。
「最近、智くんの中でプチブームなんだって、なぞかけ」
 ね? と櫻井が念押しすれば、大野はふにゃっと笑って「うん」と肯く。
「城島くんが出てるクイズ番組でやってんの見てて、おもしれーなって思って」
「ふーん、リーダーにしては珍しい趣味だね」
 大野はあまり言葉というものに興味を示す性質ではない。
 音楽を聴くときは詞の内容よりメロディーが心地良いかどうかで判断するし、読書をする方でもない(何より漢字に弱い)。
 なぞかけは発想力と共に語彙力が物を言う芸だから、二宮にとってはかなり意外だったのだ。
「最近、リーダーよく本広げてるもんね」
 松本が言った傍から、大野は自分の鞄から無地のブックカバーがかかった本を取り出している。
 楽屋に備え付けてある雑誌類や釣り関連の本、ドラマの台本以外で大野が本を読んでいるなんて、二宮は初めて見たかもしれなかった。
「リーダーが構ってくれないから俺も一緒に読んでるけど、面白いよ!」
 ソファーに腰かけている大野の隣にぽすんと納まった相葉は、大野と顔を寄せ合って本を覗き込む。
「前から気になってたんだけど、それ何の本なの、リーダー」
 松本が訊ねると、リーダーはブックカバーを外し、表紙をこちらに向けてみせた。
 「城島くんが貸してくれたの」という台詞と共に。

 『だじゃれ日本一周』

「…………」
 松本と二宮は絶句するが、一緒に読んでいるという相葉だけでなく、櫻井も平然とした表情をしている。
「……つかぬことをお訊きしますがリーダー、それがなぞかけとどういう関係があるの?」
「だって城島くん、なぞかけとだじゃれは似たもんなんやで〜って言ってたよ?」
 二宮の冷めた声音を気にするふうもなく、大野が答える。
「あのねぇ、ポケモンとかキン肉マンのだじゃれの本とかあんだよ。あとだじゃれの絵本とか。面白いからニノも読んだらいいのに」
「謹んで遠慮します」
 即答した二宮は櫻井に批難めいた視線を注ぐ。
「何で止めないんですか翔さん」
 けれど櫻井も、二宮の意見を汲んではくれなかった。
「何で? 止める必要ないでしょ。なぞかけは脳の活性化に良いそうだし、本を読むのはいいことだし、城島くんが貸してくれたって智くんも喜んで読んでるしさ」
 大野に関してはとことん甘い櫻井に訴えても、糠に釘、暖簾に腕押しであった。
 二宮は大きなため息を吐きながら松本にこぼす。
「潤くんならわかってくれますよね……?」
「俺たちが最後の砦だよ、ニノ」


 数日後、TOKIOの楽屋では、城島に山口と太一と松岡が携帯片手に迫っていた。
「しげ、あなた大野に何したの? 松本から俺に長々と陳情のメールが来てたんだけど」
「あぁ……ちょっと前に『なぞかけって面白いですね!』て言うてくれたから、僕の持ってる本貸してあげたけど……」
「何でそれでだじゃれの本を貸すわけ? 俺にも二宮からどうにかして下さいってメール来てるよ」
「その方が親しみやすいかと思って……」
「もう何やってんのよアンタは。二宮もメールで言ってたけど、大野はハマったらとことんこだわるタイプなんだから、しかも天然の上だじゃれなんて連発されたら手に負えなくなるって!」
「大野は喜んでくれとったのに……」
 
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 智さんのなぞかけを見て妄想。
 他の番組を観てないので、わたしにとってはなぞかけ=ガリレオ脳研なのです。

 2010.07.18





 氷の微笑  T−all


 5LDKの収録後。5人は楽屋に戻る途中、ゲストの芸人コンビと鉢合わせた。
「お疲れ様です!」
 2人が立ち止まって頭を下げるのに、5人もそれぞれが労いの挨拶をする。
「今日はいろいろお騒がせしてしましましたけど、来て下さってありがとうございました」
 城島が改めて二人に礼を言うと、彼らは「いえいえそんな!」「こちらこそほんまありがとうございます!」と慌ててまたお辞儀をする。
「梶原さん。また外でお会いする機会があったら、今度はお話させて下さい」
 城島の柔和な微笑みにつられて「はい、是非……」と返事しようと思った彼の口は、不意に動きを止めた。
 山口ががっしりと城島の肩を抱き寄せ、松岡が二人をかばうようにずいっと前に出て来たからだ。
「今度の機会があれば、俺たちもご一緒させてもらっていいですよね? 酔っ払ってたこの人、性質悪かったでしょう。ご迷惑おかけしませんでした? 今度は俺たちがしっかり見張ってますんで」
 息継ぎもなくまくし立てる松岡の勢いに押されてたたらを踏む。
 にこやかな笑顔なのだけれど、肌が粟立つのは何故なのか――
「松岡。僕はあくまでプライベートでお話したいんやで?」
「ずるいっすよ、リーダー」
 高いところから降ってきた長瀬の声はすっかり拗ねた様子だった。
「俺の方がリーダーに話したいこといっぱいあるのに。……やっぱりさ、リーダーは関西の人に甘いよね、何だかんだ言ってさ……」
「そんなことないと思うんやけど……」
「基本フェミニストだから女性に優しいけど、関西の人にもちょっと甘いとこあるよ。自覚してないかもしんないけど」
 横から太一も口添えする。
 城島に話しかけながらも、高いところと低いところからこちらに不躾なほど真っ直ぐに注がれる視線は、矢のように痛い。
「あ……えっと、はい……あの、TOKIOさんお忙しいと思うので、機会があれば……」
 肯定の返事をしてはいけないことをひしひしと悟り、語尾を濁すことによって何とかごまかす。
「はい、楽しみにしてます」
 にっこり微笑んだ城島が踵を返す。
 その隣に寄り添っていた山口はそっと城島の背中を押して先に行かせ、自分は立ち止まった。
 それは、集中砲火を浴びていた彼の相方の傍で――。
 山口は、芸人の中では指折りの男前だと言われる彼に向かって、完璧なアイドルスマイルをかましてみせた。
「うちの城島に、随分気軽に触れてらっしゃいましたけど。あの人に気安く触れていいのは俺たちだけなんで、そこんとこよろしくお願いしますね?」
 冷え冷えとした極上の笑みを湛えたまま、山口は優雅に一礼して4人の後を追う。
 5人の影が見えなくなると、取り残された2人はどちらからともなく顔を見合わせた。
「……城島さんが地雷なんやな……」
「嫌っていうほどわかったわ……肝に銘じとこうな……」
 躰の芯から冷え切ってしまった2人は「あったかいもん食べたい……」と呟きながら楽屋に戻っていった。

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 達也さんの眼が笑ってない(ようにわたしには見えた)微笑みから妄想。

 2010.06.24





 REST  T−


「太一、大丈夫か?」
 貴船の川床での昼食を終え、俺がそろそろ出発しようかとしているところにリーダーが寄ってきた。
 眉間に小さな皺。
 普段はわざと感情を掴ませぬかのように飄々とした笑みを浮かべている癖に、こうしたときだけ「心配です」と顔に墨で大書きしたかのごとくわかりやすい表情をするなんて、とことんズルイ人だ。
「リーダーに心配されるほど落ちぶれちゃいないよ。ちゃんと昼飯食えたし、あんたはのんびりバスの旅を楽しんでたらいいの」
 じゃあ先に行くねと言い残し、俺は自転車にまたがって地面を蹴った。
 リーダーのあんな表情が俺に向けられるようになったのはいつからだろう。
 松岡や長瀬に注がれているそれを、俺はいつも横から見ているだけだったのに――


 太秦の映画村、もう開演してしまっている舞台の客席に走りこむ。
「太一、太一」
 ひそめて俺を呼ぶ声。
 照明が落ちた客席、まだ暗がりに慣れていない俺の眼は、リーダーの居場所がすぐには掴めなかった。
 けれどリーダーが腕を伸ばして手招きをしてくれたので、やっと位置を把握する。
 まだ少し弾む息を落ち着かせるため、努めてゆっくり呼吸をしていると、そっと背中に何かが触れた。
 それは優しく俺の背中を数度撫でて、離れていく。
 ――リーダーの、掌。
 言葉はなくとも、それは労わりの感情で満ちていた。
 リーダーが俺の理解の及ばぬ存在であることは今も昔も変わらないけれど、昔はただ力任せに彼を突っぱねていた。
 今は、とても良い距離感を築けていると思う。
 何だか感慨深くてじんわりと目頭が熱くなってしまい、柄にもなくリーダーを呼び捨てにしてかけ声なんて掛けてしまった。


 露天風呂の待つ温泉宿に辿り着き、男湯の暖簾がかかった扉を開く。
 そこには既に、リーダーと彼についていたカメラマンやスタッフの姿があった。
「ああっ、先越された!」
 思わず悔しさの滲む声をあげた俺に対し、リーダーは。
「間に合ったやん」
 と、物凄く明らかに安堵の表情を浮かべて笑ったのだ。
 この瞬間、俺は強張っていた躰がふっと軽くなって、「ゴールした」という感慨が胸に湧き上がった。
 リーダーの笑顔で気が抜けただなんて……、先を越されたこと以上にめちゃくちゃ悔しいから、絶対誰にも言わないけれど。

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 ホムクルコンビの京都巡りより妄想。
 太一さんの「茂」呼びはかなりレアだと思う!

 2010.06.15





 羨望の理由  A−all

 嵐のメンバー4人は、映画の撮影の関係で遅れている二宮待ちの状態だった。
 つけっぱなしのテレビではワイドショーをやっていて、24時間テレビのマラソンランナー決定についての話題が取り上げられていた。
 ちらっと映ったTOKIOの山口を見て、松本が口を開く。
「そう言えば俺、先週たまたまテレビつけたら5LDKやってたから観てたんだけどさ」
「あ、俺も観たよ。最後の方だったけど」
 櫻井が新聞を畳みながら答えた。
「俺、先週は観てないなぁ。時間が合えば観てるんだけど」
 相葉も話に加わった。
 大野は台本を開いたままちらりと目線を上げただけで、口は開かなかった。
 オフモードだと喋ることが少ないうえ、大野があまりテレビを観ないことを知っている3人は特に気に留めた様子もない。
「俺、改めてTOKIOのメンバーって自由だなって思ったよ……山口くんの日焼けっぷりで」
「一時期の智くん以上だな、あれ。サーフィン焼けかな。似合ってるからいいけどさぁ」
「ちょっと前、長瀬くんもすごい焼けてなかった?」
「え、そうなんだ?」
「ビールのCMやってるじゃん、あの撮影で焼けたらしいって聞いたよ」
「何かTOKIOって健康的に日焼けしてるイメージあるなー。DASHのイメージかな?」
「え、俺、松岡くんはあんまり焼けてる印象ないけどなぁ」
 3人が好きに喋っていると、突然ぽつりと、「いいなぁ……」という呟きが割り込んできた。
 それは決して大きな声ではなかったのだが、何故か3人の雑談を止めてしまえる威力を持っていた。
 呟きをこぼした大野は、続けてこう言った。

「おれ、TOKIOだったら良かったのに……」

 大野の眼は台本に落とされたままで、完全なる独り言――もしくは口に出している自覚はなかったのかもしれない。
 けれども如何せん、それは櫻井、相葉、松本の耳にバッチリ入ってしまっていた。
 あまりの衝撃に3人とも固まってしまって、誰も言葉を返すことすらできない。
 そのとき、ガチャリとドアが開いて二宮が姿を現した。
「おはよーございます……」
 聡い二宮は楽屋の空気が重いなとすぐに感づいたが、とりあえずスルーした。
「リーダー、そこで松兄に会ったよ。今お世話になってんだから挨拶してきたら?」
「……ん、行ってくる」
 大野がいつもどおりののんびりしたペースで楽屋を出て行くなり、相葉が「ニノ、ニノッ、どーしよう!?」と飛びついてきた。
「一体何なの? 翔さんと潤くんまで神妙な顔して」
 櫻井は眉根を寄せ深く考え込んでいる様子だ。
「ニノ……智くん、楽器がやりたいのかな……」
「は? 楽器?」
「ベースだったら俺から山口くんに頼めるし……。いや、松岡くんと仲が良いからドラム? リズム感いいもんなリーダー……」
「ギターだったら俺、長瀬くんに頼んでみようかな? あ、でもなあ……リーダー、長瀬くんと城島くん、どっちに教わりたいんだろ?」
「鍵盤だったら手ほどきは俺がして、それから太一くんに頼んでみて……」
「いやだから、さっきから何の話してんの一体」
「「「だってリーダー(智くん)が、TOKIOに入りたいなんて言うから!!」」」
 しかし3人から詳しい話を聞いた二宮は、こっそりとため息を吐いた。
(絶対そんな理由じゃないと思うけど……)

 TOKIOの楽屋に向かいながら、大野は再び「いいなぁ」と小さく呟く。
(おれがTOKIOだったら、日焼けしても怒られないのになぁ)


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 長さんと達也さんの日焼けっぷり(長さんは今落ち着いてますけど)を見て、真っ先に思い浮かんだこと(笑)
 太一さんもDASHロケですごく焼けたって仰ってましたね。
 ドラマがクランクアップしても、智さん焼けすぎないで……切実にッ!!


 2010.06.11





 若かりし  T・A−all

 うわさのキッスの映像を観て。

嵐の場合。
 (生放送番組内、VTRを観ながらの会話)
「あ、TOKIO……」
「長瀬くん若い……ってか、美少年路線だよね」
「あはははは、長瀬くんすっげー!!」
「相葉ちゃん笑いすぎ。俺ら、この衣装よりヒドイって言われてんだからね?」
「俺、長瀬くんの衣装回されてたからちょっと懐かしいかな」
「山口くんはあんまり顔変わらないね。若干若いけど」
「髪がロックバンドって感じだ!」
「太一くんもすげーかっこつけてる」
「帽子派手だよね」
「立ち位置後ろだから目立とうと思ったんじゃない?」
「……ふふっ」(城島くん笑顔が硬い……今はあんなにやわらかく笑ってくれるのにな)
「城島くんは衣装とかあんまり派手じゃないよね?」
「最年長でリーダーだからかな?」
「関係ないんじゃない、だってこの人は一緒にシースルー着てたし」
「……あのときはまだリーダーじゃねぇもん」
「あははは、松兄もすげー! 何か変なのつけてる!」
「あはははは!」←ドラマとのギャップを思い出して笑う
「ちょっとロボットみたいだね、松岡くん」
「まぁ……何はともあれ」
「どのグループにも多かれ少なかれあるよね、恥ずかしい過去ってやつはね」


TOKIOの場合。
 (松本が録画しておいたのをDVDに落とし、大野の手から松岡の手に例の映像が渡った)
「うわぁ、可愛い長瀬や……。達也達也、僕らの天使がおるで!」
「よかったな、しげ。長瀬15歳かー、そりゃあ若いし細いよなぁ」
「もうっ、リーダーも山口くんもふざけないでくださいよー! あーっ、相葉爆笑してんじゃん! 今度会ったら覚えてろよっ」
「あ、山口くんもこの頃は細いね」
「当時は長瀬と兄ィが並んだらタイプの違う正統派美少年の図だったもんねえ」
「達也は変わらへんなぁ」
「そんなことないよ、歳食ってるじゃんこの通り」
「変わらへんよ、達也のアイドルスマイルは今でも完璧やで」
「…………」(リセッタの空気に耐えられず数秒間の沈黙)
「あっ、太一くんだっ!」
「映さなくていいよマジで……」
「太一が尖がっとった時期やもんなぁ」
「うん、俺とリーダーの仲が微妙だった時期だよね」
「やけに帽子でかくない? 浮いてんじゃん」
「……自分で見ても思うよ。目立ちたかったんじゃないかなたぶん……」
「うわぁリーダーあんたこの頃マジで笑顔硬いよね! 無駄にかっこつけてるしね! ほら思わず大野だって笑っちゃってるよ!?」
「……」(城島、微笑ましそうに観ている)
「しげ、この頃ってさぁ、確かはぐれ刑事やってた?」
「95年やと……そやな、初めて出させてもろた頃やわ」
「やっぱりね、髪型がそうだと思ったんだよ」
「…………」(再び沈黙)
「……自分のこと思いっきり棚に上げるけどさ。お前もかなり浮いてるぞ松岡」
「うん、わかってるよ……。若気の至りだよねホント……」
 

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 今日はこのVTRだけでかなりテンション上がってご機嫌です(笑)
 トキさんも嵐さんも全員可愛いです。


 2010.05.28





 Mobile Phone  T−all

 楽屋内にTOKIOの5人。
 音量が絞られたテレビで携帯電話のCMが流れる。
 画面を見ていた松岡が、CMが終わるなり、じっと自分の手の中にある携帯電話に視線を落とした。
「このCM面白いっすよね〜、携帯電話が人間って。えーっと……ギジンカ? って言うんですか?」
 長瀬が無邪気にそんなことを言ったのにびくっと肩を揺らした松岡を見て、太一は何となく松岡の考えたことが読めてしまった。
「……松岡」
「な、何っ、太一くん?」
 松岡の狼狽ぶりに、自分の想像が当たってほしくはなかった太一は重たいため息を吐く。
「どんなに眺めたって、お前の携帯はリーダーにはならねーぞ」
「なッ……俺はっ、そんな、ことっ……」
 大声で否定してみても、耳まで真っ赤にしたその表情では説得力は皆無である。
 雑誌を読んでいた城島が顔を上げてきょとんとした表情を浮かべた。
 携帯電話をいじっていた山口が「何の話?」と問うたが、おそらく断片的には台詞を聞き取っていたのだろう、爽やかすぎる笑顔だがあまり眼が笑っていない。
「携帯のCMの話っす! 携帯電話が人間になってるやつ!」
「うん、それで?」
「太一くんがマボに、お前の携帯はリーダーにはならねーぞって」
「長瀬ぇっ!!」
 松岡の制止もむなしく、山口の笑顔は更に深く刻まれた。
「それ、どんなCM?」
「リーダー、テレビあんまり観ない人だもんね……」
 と太一が言ったとき、再びテレビで件のCMが流れた。
「リーダー、これ! これっすよ!」
 CMを鑑賞すると、城島も「確かに面白いアイディアやなぁ」と言った。
「リーダーならギターの音色で着信知らせてくれそうっすね」
「そやなぁ」
「ギター常備? かさばるだろ、その携帯……」
 太一がふと黙ったままの山口に眼を向けると、彼は掌を広げてじっと見つめていた。
 そしてポツリとこぼす。
「掌サイズのしげか……それはいいなぁ」
 山口が松岡に対して共感の眼差しを向けたので、松岡は思わずコクコクと大きく首を縦に振る。
「そしたら、しげが嫌がっても海につれていけるもんな!」
 あまりに眩しい笑顔で発せられた台詞に、誰も反応できない。
「仕事でよう一緒に居るんやから、えぇやんか……」
「仕事とプライペートは違うだろ」
「……達也についてっても、波乗りしてる間、僕は暇やんか?」
「俺の勇姿を見てればいいじゃない」
「僕の視力では、どれが達也が見分けられへんって」
「そこは相棒なんだから気合で見分けてよ」
 甘い響きを持つ山口の声が、いつもに増して糖度が高い。
 本格的に二人の世界へ突入してしまう前に、阻止しなければ……! と三人の気持ちが声に出さなくとも一致する。
「山口くん、山口くん、リーダー携帯の着信音、何にしたいですか? 俺は『僕の恋愛事情と台所事情』がいいっす、弾き語りヴァージョンで!」
「お、俺はやっぱり『Midnight Rose』……もちろんリーダーがヴォーカルだからね!」
 城島と山口が揃って、長瀬と松岡の方へ向き直った。
「そうだなぁ……。ベタなところで『Babyblue』とか『誓い』とか? 『フォノグラフ』もいいけどなぁ」
「太一くんは? やっぱ『VALE-TUDO』? 『undid』? 『スベキコト』?」
 長瀬が声をかけると、太一はちょっと顔をしかめて返す。
「あのなぁ、そもそも俺はリーダーの形した携帯なんて持ちたくねーっての」
「まぁなぁ、僕と太一は四六時中一緒に居る感じとちゃうしなぁ」
 城島が言ったフォローの言葉が、逆に太一の心に何か引っかかったらしい。
 数十秒の間を置いて、顔を背けながら、太一が言った。
「俺の創った曲に……詞を書いてくれる機能がついてんなら、持ってもいいけど」
「太一くんらしい……」
「あーずるい太一くん! 俺もその機能欲しい!」
「……素直じゃないなぁ」
 笑って小さく呟いた山口に、太一はすかさず「何か言った山口くん!?」と食いかかってくる。
「言ってない言ってない」
 城島と笑み交わした山口は、心の中だけで城島に「あなた、何だかんだで愛されてるよね」と言った。  

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 あのCM可愛いですよね〜。
 曲セレクトは完全なるそらはねの趣味です。

 2010.05.23





 CLOSER  T−all

「しげ」
 楽屋に入るなり、山口が城島を呼んだ。
 その声はいつもどおり柔らかな響きなのに、何処か重々しい。
 ゆっくりと振り向いた城島に歩み寄る山口。
 太一、松岡、長瀬の三人は、息を詰めて二人の姿を見ているしかなかった。
 山口は番組内でしたように、城島の肩に腕を回す。そしてその心地を確かめるかのような仕草を見せた。
「何ぃな、達也」
 怪訝な表情を向けた城島に、山口も眉根を寄せた表情で返す。
「あなたちょっと痩せたんじゃないの?」
 しかし城島は「そんなことないと思うけど」と首を傾げる。
「最近はちゃんと一日二食やし、自炊もしてるし」
「一日二食は“ちゃんと”じゃねぇよ」
 山口はすっと眼を細め、空いた方の掌で城島の脇腹のラインを辿った。
「この辺、細くなった気がするんだけどなぁ」
「ちょぉ……っ、やめぇ達也、こそばいっ!」
 身をよじって逃げようとした城島の躰を、山口は逃がさぬように抱きとめる。
「あなたが体重減らしたからってシゲコプターで飛べるわけじゃないよ?」
「阿呆、そんなこと考えてへんわ」
「体重約60キロってテロップ出てたけど、そんなにない癖に」
「や、服とか入れたらそんくらいやん」
「服で2キロも3キロも増えるかっての」
 山口が城島を抱きとめたままの格好で喋り続ける二人。
 太一は必死に見ないふりをし、松岡は耳を紅く染めて眼を逸らし、長瀬はぽかんと口を開けたまま動かない。
「今年の夏はハードなんだから、痩せてる場合じゃないでしょ? 今からあなたには体力つけといてもらわないと」
「わかっとるがな。やからちゃんと食事もしてるしやなぁ」
「もっと精力つくもの食べないと。しげに運動しろって言っても無駄だしね。――ってことで何か食いに行こうぜ、肉とか肉とか」
「選択肢はないんかい……」
 肉、と聞いた長瀬がぴくっと身動きをしたが、ちらっと振り向いた山口の形相を見て再び固まってしまった。まるでメドゥサである。
「どうせなら皆で行かへんか?」
 と城島が言い出したけれど、長瀬の様子ですべてを悟った太一と松岡は必死で首を横に振った。
「俺、これから用があるから。せっかくだけどごめんねリーダー」
「俺もちょっと今日は無理なのよ、行きたいのは山々なんだけどさぁ。あ、長瀬も? そうだよなぁ残念だよなぁっ」
 固まったままの長瀬の躰を揺さぶって、松岡がフォローを入れる。
「そぉか……そんならしゃぁないなぁ……」
 淋しげに眼を伏せる城島とは対照的に、山口はこれ以上ないほどにこやかな笑顔だった。
「5人揃ってはまた今度にしよう、な? 今日はいいじゃん、水入らずでさ」
「うん……でも達也、酒量はほどほどにしといてや?」
「わかってるって」
 語尾に音符がついていそうなうきうきした声で、山口はすっかりご機嫌だった。
 二人が楽屋から姿を消すと、太一と松岡ははーっと大きなため息をこぼす。長瀬の石化もとけたようだった。
「久しぶりだったよね……あんだけ本気の兄ィ」
「今日は何か収録中からリーダーの方寄り気味だなって思ってたんだよね……」
 基本的に山口は、カメラの回っていないところでは城島に甘いのだが。
 ときどき今日のように、タガが外れたかのごとく密接度が高まるときがあるのだ。
「肉……いいなぁ肉、行きたかったっす……」
「ほぉ、長瀬、お前あの山口くん相手に割り込めんの、あの二人の間に?」
 太一の台詞に長瀬は「とんでもない!」とばかりにぷるぷる首を横に振るが、肉は惜しくて仕方ないらしい。
「あ〜……俺今、すっげぇ甘いものいっぱい食わされたみたいに胸焼けしてんだけど」
「太一くん奇遇だね、俺もだよ」
「俺、最近見つけた辛くて美味いラーメン屋あるんだけど、行くか?」
「いいねぇ、行く行く」
「長瀬は?」
「行きます! 太一くんの奢りっすか?」
「なわけないだろ、自分の分は自分で払え」
「はぁ〜い……」

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 5Lでいつになく達也さんが茂さんに寄ってたのは、気のせいじゃない……ですよね?
 それに、肩抱きのあとの達也さんの左手! ずっと茂さんの方にあったんですけど!

 2010.05.16





 SWING!  A−all

「さ、智くんッ!!」
 楽屋内、黙々と帰り支度をしている大野に、櫻井が決死の覚悟のごとき顔つきで声をかけた。
「……どしたの、翔くん」
 きょとんとこちらを見つめてくる大野。
 その無防備で力の抜けた表情に櫻井の頬はつい緩みそうになるが、とっさに引き締める。
「あのね智くん、さっきの……さっきの体の洗い方なんだけど!」
「うん」
「あれ、絶対、他人の前でやっちゃダメだからねッ!!」
 櫻井が至近距離であまりに大きな声を出したもので、大野は思わずびくっとなってしまった。
「ちょっと翔さんうるさいんですけどー」
 二宮の声が飛んできて、櫻井が謝っている。
 そんな姿を見ながら大野は、何故怒鳴られたんだろうと理由を考えてみるが、わからない。
「翔くん、何でダメなの?」
「……な、何でもっ!」
「翔くん、陽気だって楽しそうだって言ってたじゃん」
「い、言ったけど……っ」
(翔ちゃん焦ってるね〜)
(どう言いくるめるつもりでしょうね?)
「だってあれ楽なんだよ? 翔くんも今度やってみろよ、わかるから」
「一人でならいいんだよ、いくらやっても。他の人がいたらダメ」
「……何で?」
「……あのね、そんな洗い方する人他にいないでしょ。他の人が見たらびっくりするでしょ。だから、一人ならいいけど大勢の前ではダメ。わかった?」
(あ……持ち直した)
(ちょっと冷静になったみたいですね)
「……ん〜……わかった……翔くんがそう言うなら」
 しぶしぶ納得したような大野と、ほっと安堵の表情を浮かべる櫻井。
 一部始終を見ていた下三人は、そんな二人を尻目にこそこそ話。
「まぁ正直には言えませんよねぇ」
「リーダー可愛いうえに、ぶっちゃけエロかっ……」
「みなまで言うな」
「でも俺見たいな〜今度一緒にシャワー入ってやってもらおうかな〜」
「それは勝手ですけど、絶対翔さんにばれないようにしてくださいよ?」
「翔ちゃんに怒られるから?」
「いや……カッコよくない翔くん見たくないから。……わかるだろ?」
「…………」(無言で肯く相葉)

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 あの智さんは犯罪級に可愛かった!
 ちょっとテンション高めだったのも珍しいかったような。
 翔さんごめんなさい、基本的にカッコイイ人だと思ってるんですけど……何故かこんな扱いに(汗)

 2010.05.16





 松さんの脳内映像  T−

 バスに揺られる城島。
 信号で停止したバスの隣に止まった車。助手席の男がコンコンとウインドウを叩く。
 その音で窓の外に眼を向けた城島は、思わず座席から腰を浮かせた。
「達也!」
 焦る手つきでバスの窓を開ければ、向こうもウインドウを下げていた。
「しげ、このバカ野郎ッ! 俺に黙って行くなんて百年早ェよ!」
「たつ……」
「絶対、俺はあなたのもとに行くからなッ」
 信号が青に変わる。
 城島の乗ったバスは直進し、山口の乗った車は右折。
 二人の距離が離れていく。
「絶対に! 追いかけるからッ――!」
 ゆるやかに微笑む城島の表情が遠ざかっていく。
 きらりと、頬で何かが光った気がした。


「……ねぇ太一くん、さっきからマボがトリップしたまま帰って来ないんですけど」
「テレビついてるけど何か観てたの、こいつ」
「こないだのDASH。リーダーと山口くんがバスとトラックに乗っててしゃべってるところ何度も巻き戻して観て、ブツブツ言ってると思ったらトリップしちゃったんです」
「…………放っておけ」

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 あの映像を観て、ドラマとか映画のワンシーンでありそうだと思ってしまったのはわたしです……。
 リセッタに関してだいぶ重症です。自覚あります。
 だってヤギの晴男を見て、松さんと同じこと思ってしまった前科がありますから!

 2010.05.05





 TOKIOの老後計画  T−

 5LDK収録後……楽屋にて。
「何だったの、あの説教タイム」
「松岡らしくていいんじゃねぇの? しげも何だかんだ、心配されて悪い気はしないだろうし」
「松岡くん、本気の眼してましたよ」
「何かあれだな……『リーダーの老後は俺が看る』っての、あながち冗談じゃない気がしてきた……」
「いやぁ、俺はけっこう本気だと思うけどな」
「ちょっと山口くん、さらっと怖い発言やめてよ」
「そうですよぉ、絶対俺らにもとばっちり来ますって! 将来『今日俺は仕事だから、長瀬、リーダーの世話よろしく』とかメール入ってたらどうすんですか!」
「それは行ってやれよ、長瀬」
「しげもお前が行ったら喜ぶぞ」
「えっ……そ、そりゃあその……どうしてもってことなら、行きますけどぉ……」
(反抗期のピークも過ぎて、だいぶ素直になったもんだな)
(ホント、ホント)
「でもそのときは、太一くんも一緒に来てくださいよっ!」
「……はぁっ、何で俺!?」
「だって俺、料理できませんもん。力仕事はできますけど」
「飯はリーダーがつくってくれんだろ?」
「だって、老後ですよ? リーダー、飯つくれなくなってるかもしれないじゃないですかっ!」
「じゃあ何で山口くんに頼まないんだよ!」
「あ、太一、食べる要員の俺にそんなこと言う?」
「器用なんだから、やろうと思えばできるでしょ」
「だって……」
「だって?」
「何か山口くん、俺が訪ねていったらすでにリーダーの隣にいそうなんですもん。誘うまでもないって言うか」
「…………」(太一思わず絶句)
「あっはっは、長瀬、いいとこついてくんなぁ」
「でしょ!?」
「だって俺、しげより1コ下なだけだからね? 一緒に面倒看てもらっていい立場だろ。二人で茶菓子つまみながら語らってるからさ、よろしくな!」
「よろしくな、じゃないよ!」
「リーダーと山口くん、村の縁側ちょー似合ってますもんね」
「あ、それいいなぁ。いっそのことTOKIOの老後は村で生活、でいいんじゃねぇ? そんで、おまえら3人がときどき里帰りしてくる」
「あははは、里帰り!!」
「俺としげは村を基盤に生活しつつ、ときどき海岸見に行ったりガレージ行ったりライヴしたりする、と」
「それいい!!」(長瀬爆笑)
「山口くんの発言も冗談に聞こえないからやめて……」
(ていうか、あの番組スタッフが聞いたら本気でやりそうだから怖ぇ……)

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 いきなりしんみりした口調で前屈みになって不惑目前の二人に説教しはじめた松さんは、期待を裏切らず素晴らしかったです(笑)
 そのときのメンバーの表情が映っていなかったのが惜しいですが。

 2010.04.24





 リーダーって。  T− A-

「松岡お前、大野と仲良いんだよな?」
 5人揃ってのトーク番組を収録する日。
 楽屋にはまだ松岡と山口のふたりきり、という状況で、山口の口から出たのはそんな問いだった。
「ああ、大野? 仲良い方だとは思うけど、兄ィ、それがどうかしたの?」
 山口と大野――まったく接点がわからなくて松岡は首を傾げる。
「特番の収録で一緒になったんだよ。相葉も一緒に」
「あ、そうなの」
 そのときに何かしゃべったんだろうか、と松岡は思う。
 相葉ならまだしも、大野と山口がしゃべるところはあまり想像がつかないが。
「あいつもかなり、変わったセンス持ってんのな」
「……変わったセンス?」
「そ。……あぁ、褒めてんだよ、これ。しげの書く詞みたいな、どこからその感性出てくるんだって感じのさ」
 山口はかいつまんで収録中の出来事を話した。
 1人1画ずつ漢字を書く習字ゲーム、ラスト2画でバランスが崩れてしまったその漢字のラスト1画、書道家のアドバイスを受けて独創的に締めくくったことを。
「あぁ……何かあいつらしいね」
 松岡は弟分の顔を思い出しくすくすと笑う。
「……“リーダー”って……あんなもんなのかねぇ」
「何が?」
 松岡が問うと、山口は小さく穏やかな笑みを浮かべた。
「ひとりでにこにこ笑いながら一歩引いて見てて、頼りなさそうに見られるくせ、本当は皆に尊敬されるべき才能を持ってやがる存在」
 まぁ、しげはテレビ用の仮面を創り上げて臨むけど、大野はほとんど素だって違いはあるけどな、と付け足した山口は、しっかりと二人の差を見抜いていた。

 根本の性格はまったく異なるはずなのに――何故か立ち位置が似ているふたりの“リーダー”。

「兄ィ、俺らもあいつらも特殊な例だと思うよ。たまたまそういう“リーダー”が選ばれちゃったのよ」
「まぁな、何てったってじゃんけんだしな」

 だけど、城島はTOKIOにとって、大野は嵐にとって――かけがえのない“リーダー”だ。

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 達也さんと智さんと相葉ちゃんが共演していた特番より。
 智さんの筆遣いも彼らしかったけど、達也さんの豪快で太い一画めもまた、すっごく達也さんらしかった……(笑)

 2010.04.14